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モデル授業公開の経緯

  • 初年次教育とは,簡単にいえば「高校生を大学生へ移行させる」ための教育です。大学に入ってきたばかりの一年生は,学問上の専門的知識を持っていないことは当然なのですが,それ以前に「大学での学び」に戸惑い,なかなか適応できないことが多いのです。それは,高校までの「受け身の勉強」から,大学での「自主的な学び」へと,学習スタイルを転換させなくてはならない状況にあることに気づけないからであり,転換の必要性に気づいたとしても,どのように転換させれば「大学での学び」にフィットするのかの道筋が示されていないからです。
  • 初年次教育は,入学時にそのような戸惑いを感じている学生を支援する目的で行われるものです。内容面では,学習スキル(ノートの取り方,レポートの書き方,図書館の利用法など)の習得や,望ましい学習態度や動機づけの獲得,健全な学生生活リズムの構築など多岐に渡ります。「これこそが,初年次教育の標準である」というような「正解」などは存在しません。なぜならば,当該の学生が置かれている状況は大学や学部によって異なりますし,従って「何を」「どう」教えればよいのかもまた,異なるからです。しかし,「これこそ初年次教育」という正解がないとはいえ,「これでは初年次教育の目的を達成できない」という「望ましくない」授業というものは存在します。単に専門教育を入門的に易しく行うだけでは,知識レベルでの移行は達成できても,「学びの質の転換」についての支援にはならないからです。
  • 法政大学でも,各学部で「初年次教育」が展開されています。しかしながら,既に開講されているそれらの科目が,上記のような「高校から大学への移行」を十分に支援できる内容になっているかどうかは,これから検討していかなくてはならない課題だと感じています。そして,授業内容について検討する主体は,FD推進センターではなくて,当該の授業の担当教員であるべきだと考えます。
  • FD推進センターでは,設立時(2005年度)より,初年次教育及びリメディアル教育(高校レベルの教科学力の補習)を,重要なテーマであると考えて活動をしてきました。そして今後,新入生に十分な学習支援を行っていくためにも,初年次教育の在り方について,学内でより一層の議論を重ねていきたいと考えています。
  • 議論を建設的に積み重ねるためには「共通の理解」が必要です。各自がそれぞれのイメージで初年次教育を語っていたのでは,議論がかみ合わない恐れがあります。また,議論のたたき台となる「初年次教育の実践」があれば,それを参照枠として,自分たちの行っている初年次教育を見直したり,逆に自分たちの実践の優れている点を再発見することが促されると考えました。そこで,「初年次教育のモデル授業」を企画し,公開するというプロジェクトを発足したわけです。
  • 以上の経緯をお読みいただければ,ここで言う「モデル授業」というのが,決して「これこそ決定版」「これを真似しなさい」という性質のものではないことはご理解いただけることと思います。もとより,このモデル授業は「文学部心理学科」の学生を対象としており,内容も,心理学科の学生向けにアレンジしています。他の学部・学科で「まったく同じように」授業をした場合に最適になるという保証はありません。
  • モデル授業に対して「ここはもっと改善した方がよい」「ここは参考になるが,ここはダメ」などと,議論が活発になる端緒となれば幸いです。
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